エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
「お口に合いませんか?」

「え?」

「なかなか箸が進んでいない様なので」

「いえ……とても美味しいです」

日曜日は明久さんと会うことがお約束になっている。

今日は明久さん行きつけの鉄板焼きのお店で食事をしている。

この後、友人のピアニストのコンサートがあるらしく一緒に行くことになっている。

先週の土曜日に明久さんをホテルのラウンジで見かけた。

一緒にいたのは私の知らない女性。

もし子供ができたら認知するというぐらいなのだから相当深い仲。

そんな相手がいながら今こうして私といるときは敬語で品の良さをアピールしている。

私はそんな彼と結婚するのだ。

だけど今は明久さんに女性がいてもさほど怒りはない。

それは洋介さんの存在が大きい。

私はあの日のことを思い出した。




映画を終え私たちは洋介さん行きつけのお好み焼き屋に行った。

お店の人が焼くか自分たちで焼くかを選択できるのだけれど洋介さんは自分たちで焼こうと言ってミックスとシーフードのお好み焼きをチョイスした。

大将が「本当に自分で焼くのか?」と何度も聞いてきた。

きっといつもは焼いてもらってるのだろう。

だけど今回は「自分で焼く」と言った。

熱した鉄板の上に油を引いて、よく混ぜたお好み焼きの具材を円形に乗せる。

私は軽く混ぜて鉄板に乗せる。

程よく焼けてきてひっくり返す時の洋介さんのぎこちない手つきに大将が、ヒヤヒヤしながら見てるのが面白くて、つい笑ってしまう。

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