エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
そう、表向きはお見合いだが実際のところは互いの利益を求め当人同士の気持ちを無視し有利な相手と結婚する、政略結婚だった。

私はそれを理解した上でこの話をお受けした。

すると明久さんのため息が背中越しから聞こえた。

「確かにそうだけど、俺が心から愛しているのは真子だけだよ」

「本当に?」

「本当に本当だって」

二人の会話はまるでメロドラマのようだ。

私は明久さんから愛しているはおろか、好きと言われたことはなかった。

政略結婚かもしれないが彼らの会話に私はショックを隠しきれなかった。

私たちの間で一番それに近い言葉を探しても「しっかりしていいですね」などの行動に対していい、悪いの『良い』であってそれ以上の言葉などこの半年一度も聞いていなかったからだ。

だが最もショックだったのは相手の女性だけを愛していると断言したことだ。

でもそれだけでは済まなかった。

「本当だよ」

明久さんは余裕たっぷりに答えた。

「じゃあ〜私がもし明久の子供が欲しいって言ったら?」

私は驚きのあまり口をおさえた。

「産んでいいよ。認知だってする。俺と真子は法律上夫婦にはなれないけど気持ちは夫婦だから」

私は自分の耳を疑った。

じゃあ、私は単なる法律上の妻?
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