エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
勉強会は午前中で終わった。

「眠かっただろ」

洋介さんが囁いた。

「い、いえとても勉強になりました」

「そうだな。ところで……腹減ったな。せっかくだからひつまぶしでも食いに行くか?」

「はい、行きたいです」

そんな会話をしながら廊下を歩いていた時だった。

誰かが私の肩をポンと叩いた。

振り返ると後ろにいたのは専務だった。

専務の荻原は私の叔父にあたるのだ。

もちろんそのことは誰も知らない。

「荻原専務」

一礼する。

「珍しい子が来ているなと思えば……。そう言えば結婚するんだってな。おめでとう」

私にだけ聞こえるような声でいった。

「そうですが……叔父さん、こんなところで言わないで」

私も小さな声で返す。

「仕事もいいが花嫁修行はいいのか?」

そう言って秘書と一緒に歩いて行った。

何が花嫁修行よ。

鼻で息を吐くと、横で洋介さんが複雑そうに私を見ていた。


その後松島屋へと向かった。

松島屋の10階にひつまぶしの美味しい店があるのだ。

個室に案内され、ひつまぶしを注文する。

「は〜。なんか疲れちゃいました」

「ただ聞いてるだけだと眠たくもなるな。お前、何度か揺れてたぞ」

「え?!」

恥ずかしさを隠すようにお茶を飲んだ。

「有川」

「はい?」

苗字で呼ぶってことは仕事モードなのね。

「お前、結婚したら仕事辞めるのか?」

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