エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
真剣な表情にごまかしは効かなかった。

「私は続けたいです。ウォルカが好きで、母の旧姓を使ってまで入社したんですから……でも明久さんは、鴨居の家に嫁ぐのだから家庭に入ってほしいみたいです」

洋介さんは黙ってお茶を飲んだ。

別に辞めるなと言ってほしいわけじゃない。

洋介さんと私は恋人でもなんでもない、契約上の愛人だ。

「俺にお前を止める権限はないしな……」

やりきれない思いが洋介さんの表情から伝わった。

でも私はそれで満足だった。

だって少しは私にやめて欲しくないと思ってくれてるのだから。

「でも、ギリギリまで粘ります」

するとひつまぶしがタイミングよく運ばれてきた。

食べ方の説明を聞いた後、私は満面の笑みで「いただきます」と言った。

だって笑顔を作ってないと……胸の奥にしまってある本音が溢れそうだったから。


ひつまぶしを堪能した後は早速、『ラグーン』へと向かった。

エスカレーターで4階まで下りると、一際ゴージャスな店舗を発見。

店構えはハイブランドと引けを取らず、入り口にはスタッフが立っていた。

「課長、これめちゃくちゃ入りにくくないですか?」

店に入ったらとてもじゃないが見るだけ……では済まない雰囲気が店の数メートル先から感じる。
本当にほしい人だけが入る店。

外国の支店はここまでの圧はなかったように思う。

すると洋介さんが私の手を取った。
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