エリート上司を煽ったら極情愛を教え込まれました
だが今はお母様の質問に答えるのが優先だ。
「それが……素敵なドレスがいっぱいでなかなか選べなくて……すみません」
すると早々に電話を終わらせた明久さんが戻ってきた。
「あらそうなの?もしそんなに悩むのなら明久と一緒に選ぶのはどう?」
明久さんのお母様の提案に、思わず「え?」と言ってしまったのだが、それは明久さんも同じで……。
二人の声が重なった。
「何を二人で驚いてるの。人生一度きりの結婚式なんだから二人が納得するドレスを選ぶのも夫の役目なんじゃないの?それに泉さんも鴨居の嫁になるのだからあまり突飛なものを選ばれてもね」
何気にチクリと針を刺すようなお母様の言葉に私よりも私の母の方が表情を曇らせた。
「すみません。凄くありがたいのですが、一生に一度のことなのでドレスは当日まで内緒というか、見てのお楽しみっていう思いがあるので……もちろん、鴨居の嫁として恥じないものを選びますので」
なんとかその場を誤魔化した。
本当は明久さんとなんて選びたいとは全く思ってなかったし、こられても困る。
「そこまで泉さんがおっしゃるのなら……仕方がないわね」
すると今まで黙っていた母が口を開く。
「このことに関しては私が責任持って選びますので」
ドレスのことでこれ以上のことは言われなかった。