泡沫の記憶

「あー、腹へった…
なんか食べて帰ろ」



「んー…でも私、ダイエットしてるから…
楓真食べていいよ!
私、見てるから…」



部活帰り花穂を誘った



ダイエットなんてしなくてもいいのに…

しなくても…



「あ、瀬倉が花穂のこと
かわいくなったって言ってたよ」



「ふーん…」



「よかったね…嬉しい?」



「楓真は、嬉しい?
私が瀬倉にかわいいとか言われるの

私は、別に嬉しくない

楓真がかわいいって思ってくれなきゃ
意味ないから…」



照れ隠しで言った


オレもかわいいと思ってたけど
瀬倉が…って



「ヤダよ…
花穂が他の男子にかわいいとか…
そんなふうに見られてるの」



花穂が無言で後ろから手を繋いできた


花穂は、かわいいよ



「楓真、何食べるの?
ラーメン?ハンバーガー?
あ!
期間限定のチーズバーガーが
おいしいらしいよ!
楓真、好きそうだな…って…」



「花穂、ダイエットなんかしなくても
かわいいよ」



「そんなこと言っても食べないから!」



「そぉじゃなくて…

好きだよ…

好きだよ…花穂」



ーーー



「ん…」



オレ



キスしたよね?



花穂にキスしたよね?



目の前の花穂は
唇を手で押さえて恥ずかしそうにしてた



「花穂…
かわいいよ」



「楓真…
何、食べるの?」



照れてる花穂がかわいかった



「やっぱ、食べなくてもいいや…
なんか…お腹いっぱいかも…」



「楓真…」



「ん…?」



「私も、好き…」



「うん…」



ーーー



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