泡沫の記憶
姪の朱夏(しゅか)が
夏休み中
オレのアパートに来ることになった
兄からの電話
「こっちの自動車学校がいっぱいでな
8月いっぱい京汰(きょうた)のアパートに
住ませてもらえないか?
そこから近いところに通わすから」
自動車学校に通うため
「そんなの近くが空いたら通えばいいだろ」
「夏休み、家にいてもダラダラしてるし
車の免許でもとって…」
「ダラダラって、受験生じゃないの?
勉強しなきゃ…」
「朱夏、高校の成績がわりとよくてな
書類だけで行ける大学にいくんだ
だからこっちにいても
毎日友達と遊んでばっかりだろうから
まぁ友達も受験生だから
遊ぶ友達もいないんだろうけどな」
「オレだって仕事だし
朱夏の相手してらんない…」
「それは朱夏にも言ってある
京汰に迷惑かけるなって
ちゃんと自分のことは自分でするだろうし
規則正しい生活するって約束で…」
「他にあてないの?」
「…んー…ない…」