泡沫の記憶

朱夏の自動車学校が終わって

兄が迎えに来た



「やぁ、京汰ありがとな
朱夏、迷惑掛けなかったかな」



「うん
迷惑なんて…


ごめん…
迷惑掛けたのは、オレなんだ

朱夏のこと…
傷付けた

全部、オレが悪いから…
朱夏は、ただ何もわからなくて…」



「京汰…オマエなに言ってるんだ?
朱夏は…?
朱夏、どぉした?」



「朱夏、部屋にいる

朱夏に酷いことしたんだ…オレ…

人を好きになることも知らないような子を
オレの感情で…
傷付けて…」



「京ちゃん…」



朱夏が部屋から出てきた



「京ちゃん…

知らなくないよ…

私、知ってるよ…

京ちゃん…好きだったよ

ホントに好きだったんだよ


お父さん、ごめんなさい

私…京ちゃんのこと
好きだったの…

ずっと好きだったの

好きになったらダメだったのに…
好きだったの

だから、ここに来たの
来たかったの


だけどね
もぉ、大丈夫だよ

京ちゃん
好きな人ができたんだって

京ちゃん
その人とは結婚できるけど
私とは…できないんだよね?

お父さん
なんでできないの?

私も京ちゃん好きなのに…

仕方ないの?
どぉしても、できないの?」



朱夏…

好きになってくれて

ありがとう




< 178 / 297 >

この作品をシェア

pagetop