泡沫の記憶
「はー…よかった
…
あの…ありがとうございました」
「合ってた?オレの下手な演出」
「助かりました
ホントにありがとうございました」
「なら、良かった
じゃあ、気を付けて帰りなね」
「あの…
帰るとこなくて…
…
あの…
良かったら、泊めてもらえませんか?」
「は?
良くないけど…」
「ダメですか?
とりあえず今日だけでも…」
「ダメでしょ!」
「ホントに困ってて…」
「オレも困るし…」
「家族とか、彼女とかいるんですか?」
「いや…どっちもいないけど…」
「じゃあ…」
「ダメ」
「なんで…?」
「普通、泊めないでしょ
今ここで会ったばっかりの知らない人
…
キミだって、こわくないの?
知らない男の家に泊まるとか…
せめて女の人に声掛けなよ」
「こわくないです
オジサン、いい人そうだから…
今だって助けてくれたし!」
「…いや…
オレがこわいわ!
…
なんなの?キミ
家出少女?
まさかさっきの奴等とSNSとかで知り合って
泊まろうとか思ってた?
そんなことするヤツ、ホントにいるの?
事件じゃん!」
「います!私です!」
「…
じゃあ、余計なことしたね
ごめんね」
呆れた?
男性は私をおいて行こうとした
「待ってください!」
「なに?
他、探して…ごめん」
だよね…
私は
いけないことをしようとしてた
「オジサン
ありがとう
教えてくれて…」
実家、帰ろうかな…
お父さん、お母さん、元気かな…
でも
やっぱり…帰れないや…