優しい温もり【完結】
― キーンコーン ―

いつもより長く感じた午前中が終わる。

”ブーブーブー”
ポケットで携帯が着信を伝えていた。
私は、急いで携帯を開いた。

<おはよう。
数学準備室で待ってる。
         頼朝 >

読んだ瞬間に固まった。
・・・・・数学準備室?・・・・そんなのどこにあった??
周りにいる友達に聞こうかな・・・・でもそんなことしたら怪しまれる?
う~・・・・どうしよう。
このままだとたどり着けないし・・・・・。
私の頭の中は”数学準備室”がグルグル回っていた。

「ねぇ、数学準備室って知ってる?」
意を決し、隣にいた子に聞いてみた。

「えっ・・・・あぁ。先生がいる部屋だよね・。
たしか・・・本館の3F。たぶん一番奥じゃなかったかな。」
不思議そうに答える友達に、お礼を言い立ち上がった。

それにしても、何であの子は知っていたのだろう。
知らないのって私だけ?



準備室・・・・・準備室・・・・・

教えてもらった場所には、各教科の準備室があった。
誰がこんな所に来るの?って思いながら突き進む。

あった。数学準備室を書かれたプレートが、目に飛び込んできた。

所々、キズのいっている扉。
少し年季が入っている様だった。

扉の前で立ち止まり、ふっと思う。
何でここ? 頼くんはどうやって、ここに入ったの?
私の頭の中で、疑問符が消えることはなかった。

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