優しい温もり【完結】
「なっ・・・・・・・・なんで」
美優はやっとの思いで声を出した。

さっきまで目の前に居たのは、ダサ男。
いつも前髪がうっとうしいほど長く、顔なんてまともに見たことなかった。


なんで・・・・・・・・・なんで・・・・・・なんで?





「はぁ?俺ここの教師だけど。
しかも・・・お前の数学担当”橘先生”」

「・・・・・・・えーーーーーーーーー。」
目をパチパチさせ、思わず驚きの大声を上げた。

いけてないダサ男が・・・・頼くん???
頼くんが・・・・・ダサ男?


私の頭はパニック状態で思考回路ショート寸前だった。




「お前うるさい。 とりあえず、ファイルとライター寄越せよ。」
目の前の頼くんはイタスラな笑みを浮かべ、再び手を差し出した。

「・・・・はい。」
言われた通り、おとなしく渡した。
それでも私は不に落ちなくて、驚いた顔のままだっただろう。


「マジ助かった。・・・・・でもお前にライターは不味かったか。」
髪をボリボリ掻きながら、’しくった’という感じの頼くん。

なんか可愛いかも。
大人の男でもこんな顔するんだ。

そんなことを考えながら、眺めていた。

気がつくと・・・・またメガネを掛け、ボサボサ頭のダサ男に戻っていた。
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