優しい温もり【完結】
「あの~・・・・・」
私は躊躇いながら聞いてみた。

「なんでそんな格好しているの?」
前に店で会った頼くんは、スーツを着こなし大人のオーラを放っていたのに。
居るだけで、周囲の視線を集める存在だった。

「面倒だから。
それに俺、カッコ良過ぎるから生徒がほっとかないじゃん。
色々となにかと迷惑だから。」
頼はサラッと当たり前のように言い放った。

「美優、お前だって人のこと言えないじゃん。
・・・・・・”姫”と別人じゃん。」
私をじーっと見たと思ったら、イタズラっ子のような笑顔をしていた。

「うっ・・・・・いいじゃん・・・・私のことは。」
思わす、しどろもどろになる。

私のことには触れないでよ。
本当はバッチリメークで学校にも来たいのに。
でもばれる訳にはいかない。
私は大人しく、真面目な女子でいるって決めたんだから。

不貞腐れながら、俯いていた。


「だろ~。じゃぁ俺のこともいいじゃん。」
優しい笑顔の頼くんは、ポンポンと私の頭を撫でた。

なんで・・・・こんなに優しく・温かいのだろう。


久々に頭を撫でられた感触。

”美優”って名前を呼ばれたこと。

些細なことなのに、私の心は温かいぬくもりを感じ
自分でも驚くぐらいドキドキしていた。
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