優しい温もり【完結】
「お前そろそろ教室に戻れ。」
頼くんの言葉で気づくと、休み時間残り10分。
いつもより短く感じていた。

「もうこんな時間。じゃぁ戻る。」
もう少し一緒に居たいかも・・・・。
でも今は真面目な美優だから戻らないとと思いなおし、立ち上がった。


「美優、学校ではちゃんと”橘先生”って呼べよ。」
振り返ると頼くんの笑顔があった。

何を今更・・・・まぁ”橘先生”なんて読んだことないけど。
今までダサ男だったし・・・・もしかして・・・ばれてる?
なんて思っていたが
「橘先生」
なんて呼んでみた。頼くんは満更でもない様子。

「もう一つ。店では”先生”って呼ぶなよ。
ちゃんと名前で呼べ。」
そんなの解ってるよ。
でも名前って・・・・。

「・・・・・橘さん」
一応呼んでみた。

「はぁ?”頼”・・・・ヨリって呼べよな。」
”橘さん”って呼ばれたことが不服なのか、子供みたいな頼くん。
「ほら練習。ちゃんと呼べたらご褒美やるよ。」
今度は優し笑顔になっていた。
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