優しい温もり【完結】
― 1時間後 ―

「ヨッ。大樹早かったな。」
大ちゃんの横にはスーツをビシッと着こなした一人の男性が立っていた。


「おせーよ、ヨリ。  お前が遅いから ’姫 ’捕まえて飲んじまっただろ。」
大ちゃんはイタズラっぽい笑顔で話をしていた。

私は大ちゃんに ’ヨリ’と呼ばれた男性を見ていた。
実際には目を離せないでいた。

年齢は大ちゃんと同じくらいの20代後半
長身でがっしりとした体格。
髪の毛は後ろに流し きっちりと整えられていた。
なによりも、整った顔。 うちの大ちゃんも結構イケメンだと思っていたが、それ以上!!
しかも、さわやかな笑顔。
大人の男っていうオーラが漂っていて、眩し過ぎるぐらいだった。

大ちゃんとの2ショットは、かなり目立ち 周りの女性の視線を痛いぐらい感じていた。



「悪い、悪い・・・・・ところで ’ヒメ’って?」
まったく悪いと思っている様子のない彼は、大ちゃんの横に座りながら問いかけてきた。


「あれ~、ヨリ初めてだっけ?
俺の妹、 美優姫。」
大ちゃんは私を指差しながら紹介した。

普通の表情をして、私の名前に’姫’を付ける。
昔からそう。よく大ちゃんは私を’姫’って呼ぶ。
特別扱いみたいで、ちょっぴり嬉しかったりするが・・・・

今日はこんなイケメンの前で ’姫’は止めてよねって思いながら
軽く大ちゃんを睨みつけた。


「そんでこっちが頼。 俺の悪友。
一応、お前の店のオーナー。」
ヨリ”と紹介された彼と目が合い会釈をした。

「お前、悪友はないんじゃね・・・・美優ちゃんに変な誤解されるよ~。」
彼が笑いながら大ちゃんに話し掛けていた。
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