innocent
「じゃあ話しは若い子同士に任せて私は退散するわ。」なんて含み笑いをしながら看護師さんは部屋を出ていった。

「別にいいのにね」

「うん」

別に、恋愛感情がうまれたわけでもないし、下手に遠慮されるのは困る。


あーぁ。
いつ帰ろうか、こうなっちゃったら帰るタイミングが掴めないんだよな、なんて最低なことを考える。




ごめんね、

君が嫌なわけじゃないんだ



ただ僕が、
「人」の裏ってものをよく想像してしまってその人そのものを決めつけてしまう。

いくら優しくしてくれた人でも、僕は信用できない。


生まれつき、なのかな。

「人」が、恐い。












「……啓くん?」

「えっ、?」


「どうかしたの?」



ダメだ…
また考えすぎてる。

それが悪い癖なのに、一回飛んじゃったらなかなか直らない。


「うぅん、別に。なにも」


そんなこと、嘘だけど


何もない、ってこと、ないけど





そうして僕はまた、誰かに嘘を吐く。


誰かを、疑う。




見知った「人」であっても心を開いちゃいけない。
好きになっちゃいけない。
信用しちゃダメだ。
「人」は、心の奥底では何を考えてるか分かったもんじゃない。





キヲツケロ。


――僕の中で、警報が鳴り響く。

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