転生人魚姫はごはんが食べたい!
「けどさ、船で海に出たのなら今から追いかけても間に合わないんじゃない?」

「あら、泳げばなんとでもなるわ」

「いや君どれだけ泳ぎに自信があるわけ!?」

「これでも家族や友人の中では一番だったのよ」

「自信ありすぎでしょ!?」

「あるから二人に聞いているのよ。二人は私の敵、それとも味方?」

 ニナは私からの質問に戸惑っていたけれど、エリクが躊躇うことはなかった。

「僕はジェス君の味方。だからジェス君のお嫁さんには協力してあげないとね」

「わ、私、私は……」

 ニナは蒼白な顔で悩んでいた。見ているこっちが可哀想になるほどで、私は助言していた。

「ニナはここにいなさい。それで全てが収まるわ。何かあったら脅されたと言えばいいのよ」

「そんな奥様! わ、私は……ど、どうしよう……イデットさんはいないし、私、どうしたらいいですかエリク様!」

「そんなの自分で考えなよ。僕は自分で考えて答えを出したんだから。僕は自分とジェス君の想いを信じたよ」

「旦那様の想い、ですか?」

「僕はジェス君が、この人のことが大好きでしょうがないって知ってるの。なのにあんな風に冷たくあしらってさ。昔から金髪に青い瞳の女の人ばっかり探してたくせに、今さら何やってんだか」

 金髪に青い瞳、それは旦那様の恩人である人魚の特徴だった。はっとするニナにも思い当たる節があるらしい。

「あ、そのお話……私も知っています!」

「でしょ。それで?」

「旦那様は、いつも話していました。ご自分の恩人である女性の話を。その方は青い瞳で、金色の髪で……! 奥様、エリク様、私も自分で決めました。奥様、私は何をすればいいですか!?」

 頼もしい見方を得た私は見張りを部屋に引き入れ眠らせることに成功する。部屋からでた私たちはニナのおかげで人のいない通路を上手く進むことが出来た。時にはエリクが兵士の注意を惹きつけてくれたおかげでもある。
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