転生人魚姫はごはんが食べたい!
「互いに手を結んだとして、それを確かめる術がない。俺たちは互いに生きる世界が違うだろ? そこで俺からエスティーナ姫に提案がある」

「何かしら」

「妻として俺の城で暮らさないか? そうすればいつでも俺たちの誠意ある対応をその目で見届けられるぜ」

 この提案を受けた時の私の心境、わかります?

「…………は……のですか?」

「は?」

 彼が首を傾げるので私は再度声を荒げた。

「三食寝床は付くのですかと聞いているのですわ!」

 それはそれは激し過ぎる衝撃に、前のめりに問い質したところラージェス様は若干引き気味でした。

「あ、ああ、もちろんだ」

「どのような!?」

「どのような!?」

「詳しく!」

「詳しく!?」

「私は詳細を求めているのです! まず食事は、誰が作りますの!? メニューは!?」

「あ、あーっと……そりゃあ、城の料理人が、丹精込めて作るだろうな。腕はいい奴らだ。美味い食事だと俺は思う」

「お部屋はどのような!?」

「どのような!?」

「言っておきますけれど、牢屋生活なんて論外よ!」

「あ、ああ、なるほどそういうことか。部屋は……最上級の部屋を用意することを約束する。柔らかなベッドに、ふかふかのソファーも用意させよう。調度品も一流のものだ。間違っても固い牢獄で過ごさせることはないから安心してくれ」

「ふふ、ふふふ……」

 この私を人質にしようというのね。ああ、こんなにも笑いが止まらない日が来るなんて!

「いいわ。その提案、乗りましょう!」

 大声で宣言すると仲間たちどころか発案者であるラージェス様も口を開けていた。

 「お、お待ち下さい姫様! そのようなこと、許可出来るはずがありません!」

 一拍置いた後、仲間たちは一斉に反対意見を口にする。けれど私の決意は変わらない。

「いいのよ」

「い、いいわけがありません! 私たちだけではございません。陛下や姉君、妹君も反対なさるに決まっています!」

「説得するわ。大丈夫、私粘り強いもの」
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