転生人魚姫はごはんが食べたい!
「ところで旦那様。良ければ私のことはエスティとお呼び下さい。親しい者からはそう呼ばれています。もちろん呼び捨てで構いませんわ」
「エスティか……」
「そのように」
旦那様は海でこそ私の顔ばかり見ていたけれど、ようやくここで私の足元に注視する。
「本当に人間になれるんだな」
「知っていて要求したのではないのですか?」
「あ、ああ……。けど、実際この目で見るまではどうにも――って、旦那様!?」
「いけませんでしたか? 一応、私は妻ということなので」
一応、ね。それともラージェス様の方が良かったのかしら?
「夫婦っぽい……」
「はい?」
「やっ、なんでも! 良い、とても良いと思う。ぜひこれからも呼んでもらいたい」
「そうですか?」
「さあさあ旦那様! 奥様はお疲れなのですから、長話は後ほどに! 女性の支度は時間が掛かるのですからね」
的を得ない会話に痺れを切らしたのか、あたふたとする旦那様に変わってイデットさんがその場を仕切り始める。歩きながら教えてもらったのだが、イデットさんはこのお城で働く使用人を統括する立場にあるらしい。
「そりゃ悪かったな。エスティ、また後で会おう。まずはゆっくり疲れを癒してくれ。お前の支度が整い次第で構わないが、一緒に食事をしないか?」
その誘いを耳にした瞬間、平常運転をしていた私の瞳は唐突に煌めいた。
「なんて嬉しいお誘いなのかしら! もちろんですわ! 喜んでご一緒させてもらいますわ!」
「本当か!?」
「はい! 本日のメニューは何かしら!? あ、聞いてしまっては楽しみが半減してしまいますよね。私ったら……テーブルに着いてからのお楽しみ、というものですわね。ええ、ええっ! それはもう楽しみにしていますわ!」
旦那様もなんだか嬉しそうだし? もしかしたら私を待っていたせいで旦那様も空腹だったのかもしれない。
そこで初めて私は自分の身体が空腹を感じるようになっていたことを実感する。十七年ぶりにご飯が食べられるという事実に胸は高鳴り、語尾にハートマークが付きそうだ。すでに瞳にはハートが浮かんでいると思う。
「エスティか……」
「そのように」
旦那様は海でこそ私の顔ばかり見ていたけれど、ようやくここで私の足元に注視する。
「本当に人間になれるんだな」
「知っていて要求したのではないのですか?」
「あ、ああ……。けど、実際この目で見るまではどうにも――って、旦那様!?」
「いけませんでしたか? 一応、私は妻ということなので」
一応、ね。それともラージェス様の方が良かったのかしら?
「夫婦っぽい……」
「はい?」
「やっ、なんでも! 良い、とても良いと思う。ぜひこれからも呼んでもらいたい」
「そうですか?」
「さあさあ旦那様! 奥様はお疲れなのですから、長話は後ほどに! 女性の支度は時間が掛かるのですからね」
的を得ない会話に痺れを切らしたのか、あたふたとする旦那様に変わってイデットさんがその場を仕切り始める。歩きながら教えてもらったのだが、イデットさんはこのお城で働く使用人を統括する立場にあるらしい。
「そりゃ悪かったな。エスティ、また後で会おう。まずはゆっくり疲れを癒してくれ。お前の支度が整い次第で構わないが、一緒に食事をしないか?」
その誘いを耳にした瞬間、平常運転をしていた私の瞳は唐突に煌めいた。
「なんて嬉しいお誘いなのかしら! もちろんですわ! 喜んでご一緒させてもらいますわ!」
「本当か!?」
「はい! 本日のメニューは何かしら!? あ、聞いてしまっては楽しみが半減してしまいますよね。私ったら……テーブルに着いてからのお楽しみ、というものですわね。ええ、ええっ! それはもう楽しみにしていますわ!」
旦那様もなんだか嬉しそうだし? もしかしたら私を待っていたせいで旦那様も空腹だったのかもしれない。
そこで初めて私は自分の身体が空腹を感じるようになっていたことを実感する。十七年ぶりにご飯が食べられるという事実に胸は高鳴り、語尾にハートマークが付きそうだ。すでに瞳にはハートが浮かんでいると思う。