転生人魚姫はごはんが食べたい!
イデットさんに案内され、お風呂へと向かった私は現在メイド服を着た大勢の人間に囲まれている。みなさんお仕事モードで真剣な表情に腕まくり。あまりにも統率が取れていて少し怖いと感じた。
「よろしくお願いしまーす……」
圧倒されながらも私は彼女たちの指示通り入浴を済ませた。
結果として、ラージェス様が手配してくれた女性たちはとてもいい仕事ぶりを発揮してくれました。
「私の髪、こんなにさらさら!?」
今度は改めて肌に触れてみる。どうやら人魚と人間で劇的に変わることはないらしい。普通は二本の足に感動したりするのでしょうけれど、私にとっては前世振りね~くらいの懐かしさだ。
それよりも……
「私ってこんな顔をしていたのね」
「え?」
鏡も覗いたことがないなんておかしな話だ。仕上げの化粧を施してくれた少女は私の発言に驚いたらしい。
十七年付き合いのある顔とはいえ、しみじみ呟いてしまうのも人魚なら仕方のないことだと思う。何しろ海の世界には鏡がない。髪の色や、水面に映る姿でなんとなくの造形はわかるけれど、詳細に自分と向き合うのならやはり鏡がなければ難しい。
私は十七年越しに対面する自分の容姿に夢中だった。観察するように頭のてっぺんから、今では爪先まである足の先まで確認していく。勢い余ってくるりと回れば、長く伸びていた髪も一緒に踊った。髪の色はさすがに私も知っている。たとえば泳いだり、振り返ったり、動けば自然と付いてくるものだから。
「まあ、似合っているみたいだし?」
これからは鏡を覗くことが当たり前になる。遠い昔に失ったと思ってた当たり前が戻ってきたことは嬉しいものだった。
「よろしくね。新しい私!」
今日から私は人間として生きるのよ。
「あの、奥様?」
あ……この子にしてみればいきなり鏡の前で独り言を呟きだした怖い人よね。
お風呂から出て最終的に私の元に残ったのはイデットさんと、この少女だけだった。イデットさんは相変わらずの無表情だったけれど、女の子は素直に表情を変えてくれるので親しみやすい。
「よろしくお願いしまーす……」
圧倒されながらも私は彼女たちの指示通り入浴を済ませた。
結果として、ラージェス様が手配してくれた女性たちはとてもいい仕事ぶりを発揮してくれました。
「私の髪、こんなにさらさら!?」
今度は改めて肌に触れてみる。どうやら人魚と人間で劇的に変わることはないらしい。普通は二本の足に感動したりするのでしょうけれど、私にとっては前世振りね~くらいの懐かしさだ。
それよりも……
「私ってこんな顔をしていたのね」
「え?」
鏡も覗いたことがないなんておかしな話だ。仕上げの化粧を施してくれた少女は私の発言に驚いたらしい。
十七年付き合いのある顔とはいえ、しみじみ呟いてしまうのも人魚なら仕方のないことだと思う。何しろ海の世界には鏡がない。髪の色や、水面に映る姿でなんとなくの造形はわかるけれど、詳細に自分と向き合うのならやはり鏡がなければ難しい。
私は十七年越しに対面する自分の容姿に夢中だった。観察するように頭のてっぺんから、今では爪先まである足の先まで確認していく。勢い余ってくるりと回れば、長く伸びていた髪も一緒に踊った。髪の色はさすがに私も知っている。たとえば泳いだり、振り返ったり、動けば自然と付いてくるものだから。
「まあ、似合っているみたいだし?」
これからは鏡を覗くことが当たり前になる。遠い昔に失ったと思ってた当たり前が戻ってきたことは嬉しいものだった。
「よろしくね。新しい私!」
今日から私は人間として生きるのよ。
「あの、奥様?」
あ……この子にしてみればいきなり鏡の前で独り言を呟きだした怖い人よね。
お風呂から出て最終的に私の元に残ったのはイデットさんと、この少女だけだった。イデットさんは相変わらずの無表情だったけれど、女の子は素直に表情を変えてくれるので親しみやすい。