転生人魚姫はごはんが食べたい!
私たちはまだ入口にいて、入店しただけの状態だ。ほとんど何も始まっていないのに早くも次の約束が決まっていた。
「これはこれは、いらっしゃいませ」
私たちの存在に気付いた店主らしき人物がカウンターから歓迎してくれる。
「邪魔するぜ」
旦那様は迷うことなくカウンターへ向かうので私も後に続いた。
旦那様、もしかしなくても普通に常連ですね? 動きも勝手知ったという振る舞いですし。
「おや、お連れ様ですか? 珍しいですね」
「今日は妻に強請られてな」
「ああ、なるほど奥様に……失礼ですが、いつご結婚されたのですか!?」
「三日前だ」
「いいっ、いつの間に!?」
「いーだろー」
あの、のんびり私の肩を抱き寄せている場合ですか? 物凄く驚かれているんですけど……
「お、おいみんな! ラージェス様が、結婚されたらしいぞ!」
最初に叫んだのは店主さんだった。賑わっていたはずの店内には一瞬の静寂が訪れ、次いでフロア中から驚きが押し寄せる。それぞれのテーブル、からなんだってぇ!? という絶叫にも似た声が聞こえた。
旦那様は絶叫もなんのその。まるでこの状況を楽しむかのように、優雅に私の肩を抱いたままだ。
「紹介しよう。妻のエスティーナだ」
ここでいきなりですか!?
「え、エスティーナですわ。よろしくお願いします!」
無茶振りとまでは言いませんけど、この状況。事前に説明はほしかったですよ!?
「ラージェス様! 貴方という人は!」
なになになに!? 旦那様、凄い形相で店主さんから睨まれていますよ!?
「ご結婚なされたのなら一言お知らせいただければ、我々もお祝いに駆けつけましたのものを!」
そうでした。旦那様ってば、この町を治めている方なのよね。有名なのは当たり前。お祝いしたい人がたくさんいるのも、当たり前なのよね。
なんだかエリク様の気持ちがわかってしまったわ。本当にこの人ったら、とことん突然に結婚を決めていたのね。そ、そりゃあ、決めさせたのは私だけど……報告を怠ったのは旦那様なのよ!
「結婚式は!? もうなさったのですか!?」
「いや、まだだ」
「それは良かった。私どもとしても稼ぎ時ですからね。今度こそ、事前にご一報頂きたいものですな」
「悪かった。約束するぜ」
旦那様がそう言うと別のテーブルからも声が上がる。
「これはこれは、いらっしゃいませ」
私たちの存在に気付いた店主らしき人物がカウンターから歓迎してくれる。
「邪魔するぜ」
旦那様は迷うことなくカウンターへ向かうので私も後に続いた。
旦那様、もしかしなくても普通に常連ですね? 動きも勝手知ったという振る舞いですし。
「おや、お連れ様ですか? 珍しいですね」
「今日は妻に強請られてな」
「ああ、なるほど奥様に……失礼ですが、いつご結婚されたのですか!?」
「三日前だ」
「いいっ、いつの間に!?」
「いーだろー」
あの、のんびり私の肩を抱き寄せている場合ですか? 物凄く驚かれているんですけど……
「お、おいみんな! ラージェス様が、結婚されたらしいぞ!」
最初に叫んだのは店主さんだった。賑わっていたはずの店内には一瞬の静寂が訪れ、次いでフロア中から驚きが押し寄せる。それぞれのテーブル、からなんだってぇ!? という絶叫にも似た声が聞こえた。
旦那様は絶叫もなんのその。まるでこの状況を楽しむかのように、優雅に私の肩を抱いたままだ。
「紹介しよう。妻のエスティーナだ」
ここでいきなりですか!?
「え、エスティーナですわ。よろしくお願いします!」
無茶振りとまでは言いませんけど、この状況。事前に説明はほしかったですよ!?
「ラージェス様! 貴方という人は!」
なになになに!? 旦那様、凄い形相で店主さんから睨まれていますよ!?
「ご結婚なされたのなら一言お知らせいただければ、我々もお祝いに駆けつけましたのものを!」
そうでした。旦那様ってば、この町を治めている方なのよね。有名なのは当たり前。お祝いしたい人がたくさんいるのも、当たり前なのよね。
なんだかエリク様の気持ちがわかってしまったわ。本当にこの人ったら、とことん突然に結婚を決めていたのね。そ、そりゃあ、決めさせたのは私だけど……報告を怠ったのは旦那様なのよ!
「結婚式は!? もうなさったのですか!?」
「いや、まだだ」
「それは良かった。私どもとしても稼ぎ時ですからね。今度こそ、事前にご一報頂きたいものですな」
「悪かった。約束するぜ」
旦那様がそう言うと別のテーブルからも声が上がる。