極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する


「きちんとした大人の男、私が吟味して紹介してあげるよ」
「え……別にいいよ。それに紹介してもらってうまくいかなかった場合、佳乃にも迷惑かかって申し訳ないし……」

「大丈夫だよ。お見合いってわけじゃないんだし相手にも軽い感じでって説明するし。そもそもうまくいかなかったからってへそ曲げるようなひと紹介しないしね」

正直気が進まなくて「でも……」と返事を渋っていると、残りひと口となったハンバーガーを口に放り込んだ大地までもが「いいじゃん、それ」なんて佳乃に加勢する。

「姉ちゃん、放っとけばどうせまたダメな男に引っかかるだろうし、佳乃さんの紹介の方が俺も安心できる」

「よっしゃ、じゃあフリーでよさそうな人探さないと! あー、なんかワクワクする」

声を弾ませた佳乃が、バッグから携帯を取り出し「誰がいいかなー」と鼻歌を歌いながらアドレス帳をスクロールする。

その様子を見て、止めることは諦めため息を落とした。

「そもそも姉ちゃんのタイプってどんなの?」

セットの炭酸水を飲む大地に聞かれ首を傾げる。

「どんなのって言っても……」

失恋してそう経たないのに、そんなにすぐ次の恋になんて進める気がしない。

どんな人ならいいだろう……と考えてはみたけれど、思い出してみれば私の恋は今まで全部、相手のアプローチからで自分から心を動かしたことはないことに気付く。

少し優しくされて好意をチラつかされるとそれで気になり始めてしまうのだから、我ながら簡単な女だ。


< 107 / 190 >

この作品をシェア

pagetop