極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する

「正直、あなたみたいなひとが少なくないから困ってるんですよね。伊月代表って、近寄りがたい雰囲気あるのに、意外と優しいところがあるでしょう? そのギャップにやられて勘違いしちゃうひと、結構多いんですよ」

否定するよりも先に、そうなんだ……と納得する。でも、言われてみればたしかに伊月はモテる要素が多分にあるかもしれない。

肩書もさることながら、中身も十分魅力的だ。
見た目通りの性格ではあるものの、芯にはとてもあたたかい優しさを持っているし、立場の差を感じさせないフランクさがある。

ギャップっていえばまさにその通りだ。

「あのひと、誰が相手だって優しいって知らなかったんですか? そういう性格ってだけです。もしかして、自分だけ特別だなんてうぬぼれてたなら、勘違いですよ」

目を細めて告げられた言葉に、口を引き結ぶ。

仕事としてだったら、アポなしでは通せないと説明するだけでよかったはずだ。
それを、追いかけてまでこんなことを言ってくるということは、もしかしたらプライベートで伊月と繋がりがあるのだろうか。

完全にマウントをとっている態度だ。

女性が言った言葉がひっかかり「……『あのひと』?」と聞くようにつぶやくと、にんまりとした笑みを返された。


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