極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する


「はー……ただいま」

腕がちぎれるんじゃないかと心配になるほどの荷物を、玄関入ってすぐの場所にどさりと置く。

帰省すると、毎回のことながら、おばあちゃんがこれでもかってほどのお土産を持たせてくれるので、アパートに戻ってくるときにはいつもこんな感じだ。

帰省したときには、容量に余裕があったキャリーケースはチャックが壊れるんじゃないかってほどにパンパンだし、追加で持たされた大きなトートバッグも同様だった。

中身は、ティッシュやらラップやらと、主に私の肩を壊そうとしていたトマトジュースと根菜の数々だ。
『いいから』とあれもこれも詰め込まれた時にこうなることは想像がついたのだけれど、ありがたいことだともわかっているので断れない。

でも、根菜とトマトジュースだけじゃ料理にならないので、この荷物だっていうのに帰りに買い出しも済ませていて……なので、肩にめり込む荷物は半分は自業自得でもあった。

ひとり暮らしはなにかと大変だ。

「重かったー……」とひとり言をつぶやき肩をぐるぐる回しながら、部屋を抜け窓に直行する。
網戸にすると、部屋にこもっていた空気と新鮮な空気が入れ替わり気持ちが軽くなるようだった。

夜に差し掛かった十八時。髪を揺らす風はもうそこまでの暑さはない。実家の方がここよりも少し涼しいけれど、こっちももう秋に変わろうとしているようだった。

九月の半ば。あと三ヵ月もすればお正月休みに入る。一週間もいられないけれど、帰省する予定でいる。

「さてと」

要冷蔵冷凍のものを、袋から出してしまっていく。

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