極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する
あまりの発言に、私はぽかんとしてしまっているっていうのに、当の伊月は何事もなかったかのように微笑み私を抱き寄せる。
耳に直接告げられた「〝好きだ〟って、まだ言ってなかったな」という言葉に時間が止まったような感覚に陥り……じわじわと実感をすると、次第に涙がこみあげた。
唇を合わせてくる伊月の背中にしがみつくように手を回しベッドになだれ込む。ポフンという初めての感覚に驚いて思わずベッドを確認した私の顔を、伊月が自分へと向き直させる。
「今はこっちに集中しろ」と咎められ、返事をする間もなくまた唇を塞がれた。
入り込んできた舌が私のそれに重なると甘い痺れが走る。そのまま咥内をあますことなく撫でる伊月の舌から送り込まれるぞくぞくとした感覚が、体から逃がせずに溜まっていく。
「ん……んぅ……っ」
がっちりと顎を固定されているせいで、されるがままだ。執拗に繰り返されるキスにわずかな息苦しさを感じるのに、それ以上に伊月の気持ちが流れ込んでくるから、心地がいい。
好きだと、体を持って伝えられているようで苦しいのに安心する。
「は、ぁ……」
ようやくキスを終えた伊月が、私の唇を最後にひと舐めしたあと、首筋に顔を埋める。伊月の髪が顔にあたるからくすぐったいけれど、首の薄い皮膚の上を這う舌から生まれる気持ちよさに体が震えた。
そうしながらも、待ちきれないとばかりに私の服を捲り上げる手が嬉しくて思わず笑うと、伊月がやや不満そうな顔を向けた。