極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する
おばあちゃんは、午前中は家から徒歩十分のところにある広場に行き、ゲートボールを楽しむ。
六十歳を超えてから毎日のルーティンだ。
家に戻ってくるのは、十一時から十二時半頃。時間にムラがあるのは、ゲートボール後の雑談の盛り上がりによるから。
朝九時前に、ゲートボールのスティックを持って出て行くのだから、元気だなぁと感心してしまう。
大地は高校がある上、ボクシング部の朝練まであるから、七時前にはもう家を出たらしい。
七時に起きた私とは入れ違いだったようで、明日からはもう少し早く起きようと思いながら、さて、と縁側から中庭を眺めた。
二本の竹竿には、洗濯物が干され太陽の光を浴びていた。
九月初日。夏休みも終わったって言うのに、太陽は少しも手加減する気はないようでうんざりする。
時計が指すのは十時半。これからもっと気温は上がりそうだった。
「とりあえず……シーツでも洗って、拭き掃除でもしようかな」
おばあちゃんや大地はゆっくりしていればいいなんて言うけれど、ただゴロゴロしているのも落ち着かない。それに、暇な時間があれば余計なことを考えて落ち込んでしまう。
掃除なら、いくらしたところで迷惑になることはないだろうし。
そう思い、おばあちゃん、大地、私の部屋を回り、それぞれのシーツと枕カバーを回収して洗濯機に入れる。