極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する
改めて見ると、伊月が買ってくれたという乾燥機能つき洗濯機は、古い日本家屋には不似合いだった。
ドラム型の洗濯機の色は白で、上部にタッチパネルがついている。メーカーだって大手だしきっといい物なんだろう。
昨日、おばあちゃんと話したあと、なにげなくネットで調べてみたら乾燥機能つき洗濯機の相場は二十万台。中には三十万を超えるものもあって、とりあえず、プレゼントされた洗濯機がそこまで高価な物ではありませんようにと願った。
おばあちゃんじゃないけれど、他人の伊月にそこまでさせてしまうのは申し訳なさすぎる。
そんな新品の洗濯機で洗った服を一枚一枚干していく。
朝の八時なのに、夏の太陽はもう高い位置まで昇っていた。おかげでたくさんの日が降り注ぎ、正午には取り込めそうだ。
この庭にこんな風にさんさんと日が当たるのも、伊月が、大家さんの四階建て計画を止めてくれたからだ……と考え、ひとり腕を組み眉を寄せる。
……もう色々頭が上がらないし、おばあちゃんじゃないけどなにかお礼をしないとまずい。
とはいえ、出逢ってまだ四日の伊月にあげるプレゼントなんて思いつかないし、とりあえずは今夜ご馳走を作るって言っていたおばあちゃんを手伝おう。
そう決めてから食材の買い出しのため、家を出た。
家から徒歩五分ほどのバス停からバスに乗り込み、席に座る。
大きなスーパーに行くには、ここから三つ目で降りればいいことを確認してから携帯をいじる。
空席の目立つバスの中。大地にメッセージを送ると、休み時間なのかすぐに返ってくる。