極上御曹司は失恋OLを新妻に所望する
「どこがたいしたことない話なんだよ! 思いっきり傷つけられてるじゃん! なんで姉ちゃんはそうなんだよ……。簡単に男信じるんじゃねーっていつも言ってるだろ?! 男なんて、感情関係なしにヤリたくなるし、ヤルためだったら愛してるだとか平気で嘘つけるんだよ!」
「……それ、本当なんだろうけど女の子の前では言わない方がいいよ。あと、私も弟の口からそんな言葉聞きたくなかった……」
「つーか、なんだよ、その男! ふざけやがってっ! 遊ぶなら姉ちゃん以外の他の女とヤッてろよ」
荒々しい口調で怒る大地に「もう、わかったから……」と声をかけると、すぐに「わかってないだろ!」と睨まれてしまう。
「姉ちゃんは自分では冷静だとか言うけど、昔っからすぐコロッと騙されるんだよ。相手が自分のためになにかしてくれたって気付けば、そこから情が湧いて好きになっちゃうんだよ。相手の下心なんか気づかないのに、優しさだとかにはいちいち敏感でほだされて……裏切られてばっかじゃん」
くしゃっと悔しそうに顔を歪めた大地が続ける。
「最後はボロボロに傷つけられて、なのに平気だってへらへら笑って……それで、あとでひとりで泣くじゃん。俺の前でも、いつも〝大丈夫だから〟って強がってさ……もっと怒れよっ」
感情的になって声を張り上げた大地に、すぐに言葉が出てこなかった。
大地に言われたことが事実だからっていうのもあるけれど、大地がそんな風に考えてくれていたのかって感動してしまっていた。
こんなだから怒られるんだろうとはわかっていても、嬉しく思う気持ちは止められなかった。