幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
かぐやは訳あってアンネストールに来た。かぐやの故郷はアンネストールから遠く離れた東洋にある。

東洋からアンネストールに来たばかりのかぐやは、どう暮らしていけばいいかわからず街を彷徨い歩いていた。どう生きていけばいいかわからず、公園のベンチに座って自分の唯一の趣味である小説執筆をしていた。家を出た時に持ち出したノートにペンを走らせる。

「君、物語を作るのが上手だね。すごいよ」

不意に話しかけられ、かぐやが顔を上げた先にシリウスがいた。美しいアンネストールの男性に話しかけられ、かぐやは胸を高鳴らせる。一目ぼれというものを人生で初めて経験した瞬間だった。

シリウスの仕事の話を聞き、そのまま脚本家として採用されてしまった。そして、シリウスの屋敷に住まわせてもらうことになったのだ。

それから、ずっとかぐやはシリウスに恋をしている。その想いがよくも悪くも進展することはなかった。しかし、かぐやは幸せだったのだ。エヴァがやって来るまでは。
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