幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「かぐやさんは、故郷に帰るのが嬉しくないのですか?先ほどからため息ばかりです」

エヴァに訊ねられ、かぐやは「放っておいて。あなたに関係ない」と言って青く広がる海を見つめた。エヴァに冷たい態度を取りたいわけではないのだが、シリウスのことを考えるとモヤモヤして冷たい言葉を言ってしまう。

かぐやとエヴァは、二人でかぐやの故郷に向かっている。理由はかぐやの元に家族から「帰ってきてほしい」という手紙が届いたからだ。

かぐやは正直帰りたくなかった。しかし、シリウスから「せっかくだし、帰ってみたら。何年も帰っていないんでしょ?」と言われたので仕方なく帰っているのだ。エヴァがなぜ付いてきているかというと、「一人で行きたくない」とかぐやが言ったからだ。

「シリウスさんが付いて来てくれると思ったのに……」

かぐやが呟いているうちに故郷に到着する。アンネストールとは全く違う街並みに、エヴァはキョロキョロと辺りを見回している。

「ほら、早く行くわよ」

かぐやはエヴァに声をかけ、何年ぶりかの故郷の街を歩いていく。街はかなり変わっていて、かぐやは少し迷いながら家に到着した。
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