幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
武術にも知能にも優れた子どもたちは少ない。しかし、みんな無表情で感情がない。だからか、ヴィクトリアはスカーレットに興味を持った。初めて、戦うこと以外で興味を持った瞬間だ。

「また会いに来ていい?」

そう不安げに訊ねるスカーレットに、ヴィクトリアは「いいよ」と答えていた。その刹那、スカーレットの顔は花が咲いたような笑顔になる。

こうして、ヴィクトリアとウーヌスは運命を変えてくれる人に出会った。



ヴィクトリアとウーヌスは、こっそりスカーレットと会ってたまに話をするようになった。その話の内容は、ヴィクトリアとウーヌスが普段聞く武術に関することなどではない。

「この本、すっごくお気に入りなの!カエルになった王子様がお姫様のキスで目を覚ますんだよ」

スカーレットは童話や花言葉などを教えてくれる。初めて聞く話にヴィクトリアとウーヌスは戸惑った。

「そんなもの知らないわ」

「俺たちも学ぶことは違うんだな」
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