幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

春の日差しが部屋に差し込み、シリウスは少女と庭を何度も交互に見つめる。庭に咲いたハナモモの花が風で揺れた。

「……こんなに綺麗な人、初めて見た」

ゆっくりとシリウスは少女の頰に触れる。まるで人形のような見た目の少女の頰がとても柔らかく、シリウスは何度も触れた。

俳優をしていれば、美人な女性やファンに会うことは何度もあった。しかし、少女は誰よりも美しく驚いてしまう。女優をしていたなら、多くの男性を虜にしていただろう。

すると、その瞳がピクリと動いた。そして瞳がゆっくりと開き、シリウスとは違う青い瞳が現れる。

「あ、気が付いた？」

シリウスが笑いかけると、ぼんやりした目をしていた少女の目は一瞬にして鋭いものに変わる。その刹那、シリウスの肩が強く押される。小柄な少女だというのに、シリウスは尻もちをついてしまった。

「えっ……」

シリウスが振り向くと、少女は警戒した目でシリウスを睨み付けていた。