幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「じゃあ、俺たちにも特別な名前をつけて」

ウーヌスがそう言い、ヴィクトリアも頷く。本当の自分とは何かわからない。この胸にある感情の名前すらわからない。それでも、カレンと共にいたいと思った。

「じゃあ……ウーヌスはシャーロック!ヴィクトリアはエヴァはどう?」

カレンから「エヴァ」と呼ばれた時、ヴィクトリアーーーエヴァの中に不思議な感情が芽生えた。今まで名前など深く考えることもなく生きてきた。しかし、ヴィクトリアと呼ばれるよりもエヴァと呼ばれた方が安心する自分がいる。

「エヴァ……素敵な名前……。ありがとう」

「シャーロック!かっこいい!ありがとう」

エヴァとシャーロックはカレンに「ありがとう」と言う。カレンと出会ってから何度も言うようになり、最近やっと慣れ始めた言葉の一つだ。

「嬉しい!三人で話すのがますます楽しくなっちゃった!」

カレンはそう言い、エヴァとシャーロックも頷く。カレンのようにエヴァは笑えない。それでも、この胸には訓練をしている時にはない感情が確かにあった。
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