幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
カレンの呟きに、エヴァは何も言うことができなかった。

カレンは武器として育てられているわけではない。そのため、感情も豊かで純粋で優しい心を持っている。しかし、エヴァは違う。エヴァはただの殺し屋なのだ。

「私には、似合わない……」

カレンに聞こえないよう、エヴァは呟く。この苦しい感情が何かわからなかった。



それから数日、エヴァはカレンと会えない日々が続いていた。

「ではこれより、体術訓練を行う!相手を殺すつもりでかかれ!!」

マディソン、イザベル、メイソンが言い、エヴァは飛びかかってきた相手と戦っていく。しかし、相手を投げ飛ばすたびに心にこれでいいのかという迷いが生まれていた。

カレンと出会い、話すようになってからエヴァは人を傷つけることに躊躇いを感じるようになっていた。それは、カレンが優しい人だからかもしれない。人を殺した後、罪悪感というものを初めて感じるようになった。

「ヴィクトリア、今日も武器としてうまく働いているな」

「当然。ウーヌスがいなくなった今、レジーナ様の希望は彼女一人だけだもの」
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