幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
メイソンとイザベルの声が耳に入る。エヴァは聞こえないフリをして相手の腕を押さえ込む。前ならば容赦のない攻撃がもっと続いていたが、今はなるべく相手を傷つけないようにしていた。

「私は、何のために生かされているの?」

心にできた疑問に答えてくれる者などいない。この世界では質問は許されない。ただ忠実に人を傷つけていく。

「メイソン、イザベル、マディソン、裏切り者が出た!!」

武道場のドアが開き、ユダが入ってくる。三人は「またか……」と言いたげな顔を見せた。エヴァたちは一斉に戦うのをやめる。

「それで、今回の裏切り者は?」

マディソンが訊ねると、ユダは「スカーレット。芸術に優れた少女だ。レジーナ様のドレスに勝手に袖を通していた」と答える。

エヴァの心臓がうるさいくらいに音を立て、締め付けられる。呼吸ができなくなっていることにエヴァは気付いた。

「レジーナ様はどうしろと?」

メイソンの問いにユダは「処刑にしろと命じられた」と答える。エヴァの目が未開かれ、体の力が抜けそうになった。そんなエヴァにお構いなしにマディソンが言う。
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