幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
しかし、幸せな逃亡生活は長くは続かなかった。

ある日、二人は買い物に出かけた。カレンの絵が高く売れたため、今日は少し贅沢をしようという話になったのだ。

「すごく素敵なドレスを見つけたの。お揃いで買おう」

カレンが笑い、エヴァも頷く。エデンから抜け出したとはいえ、二人は貧しい暮らしをすることが多いため、憧れていた美しいドレスを着る機会などなかった。

「こっちの道で行った方が早いんだ」

カレンがそう言いエヴァを連れて入ったのは、人通りの少ない裏路地だった。エヴァは嫌な予感がしたものの、歩き続ける。しかし、その予感は的中した。

「ヴィクトリア、スカーレット、探したぞ」

エデンの信者たちが現れ、二人の道を塞ぐ。カレンが怯えた目をし、エヴァは迷うことなく言った。

「カレンは逃げて。私がここを食い止める。カレンはどこか遠くに逃げて。この街から離れるのよ!」

「エヴァ、何言ってるの!?エヴァも一緒にーーー」
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