幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
シリウスはそう言ったものの、エヴァは「皆さんに準備していただいたので……」と言い皿を片付け始める。

片付けがある程度終わった頃、太陽がゆっくり登り始めたらしい。少しずつ光が空に見えてくる。

「エヴァ、中庭に行こうか」

シリウスはそう言い、エヴァの手を引く。朝を迎えた中庭は昼間とは違った美しさがある。

「朝早くに中庭に来るのは初めてです」

「綺麗でしょ?ほら、空を見て」

朝の空を二人で眺める。シリウスの胸は幸せに満ちていた。隣を見ればエヴァは空を見上げて微笑んでいる。シリウスはその横顔をジッと見つめ、目に焼き付けた。

「エヴァ」

シリウスはエヴァの肩に触れる。エヴァが振り向いたところでポケットから紫の花の髪飾りを取り出した。それは、エヴァの部屋に捨てるように置かれていたものだ。

「大切なものなんでしょ?よく似合ってるよ」

そう言い、シリウスはエヴァの頭に髪飾りをつける。エヴァの瞳に涙があふれた。
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