幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「街を歩いている時に、何度も考えてしまうのです。このままカレンに会えないのではないか、もうカレンはエデンに捕まってしまったのではないかと……」

エヴァのか細い声に、シリウスは懸命に耳を傾ける。エヴァが感情を見せてくれる、それがシリウスにとって嬉しいことだった。ただ優しく抱きしめる。

「私は愚かです。人を殺めて、傷つけて、大切な人を探し続けることもできない……」

「君は立派だよ。ここ数週間、ずっと何も言わずにカレンを探し続けている。成果がなかなか見えないとそんな風に思ってしまうものだよ。心配しないで。少しリラックスしよう」

シリウスはエヴァの華奢な体に腕を回し、優しく語りかける。エヴァの口から嗚咽が漏れた。

「私……カレンとこうしてカフェに行ってみたいです」

「うん。きっと行けるよ」

シリウスはエヴァの背中を優しく叩く。エヴァはただシリウスの腕の中で静かに涙を流し続けていた。
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