幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
拘束されてどれほど時間が経ったのかわからない。ガチャリとドアが開き、部屋に豪華なドレスを着たレジーナが入って来る。その顔は満足したような表情だ。

「ヴィクトリア、久しぶりね。あなたがスカーレットと共に逃げてから毎日このまま夢が叶わないのではないかと心配だったのよ」

無理に作った甘い声にエヴァは顔をしかめる。エデンを抜け出すまではレジーナに服従していた。しかし今は、レジーナが悪であるとはっきり認識している。だからこそ、胸に嫌悪感が広がった。

「……なぜ私をつなぎ止めておきたいのですか?」

エヴァは気になっていたことを質問する。エデンにいる時もレジーナがなぜ子どもを兵器に育て上げようとしているのかなど聞かされたことがなかった。

レジーナはエヴァから離れ、「歴史のお勉強をしましょうか」と暗い声を出す。そして、アンネストールの歴史を話し始めた。

「この国にははるか昔から王族がいる。今は政治的権限を民に渡したけれど、昔は王の言葉が絶対。逆らうことなど許されなかった」
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