幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「きっとバージルたちが警察を呼んでくれる。そしたらすぐに助けが来る。エヴァと二人で帰るんだ。そしてーーー」

エヴァに伝えたいことを伝える。シリウスは何度も伝えたい言葉を練習した。そして、うまくいった時に訪れる幸せを想像して胸を膨らませる。

エヴァはどんな顔をしてくれるのかな。同じ気持ちだといいな。二人で笑い合って過ごせたらいいな。

そんなことを考えていたシリウスだったが、ガチャリと鍵の開く音がすると心に緊張が走る。入って来たのはメイソンだった。

「レジーナ様の命令だ。出ろ」

腕を掴まれ、無理やり歩かされる。長い廊下を歩き、シリウスが連れて来られたのは闘技場のような場所だった。

「ここは……」

辺りを見回し、シリウスは目を見開く。そして「エヴァ!!」と叫んだ。

全身が傷だらけのエヴァが、椅子に縛り付けられている。ゆっくりと瞳が開き、「シリウスさん……」とか細い声が聞こえた。
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