幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
花屋から屋敷に向かって歩いていると、ケイリー、アイヴィー、かぐや、バージルと出会った。

「どうしたの?四人揃って……」

シリウスが訊ねると、アイヴィーが「ダブルデートよ。いつかトリプルデートができるといいわね」とニヤニヤしながら言う。シリウスは顔を赤くした。

「もしかして、今から言いに行くのか?」

バージルに訊かれ、シリウスはゆっくりと頷く。「おお!」とケイリーとアイヴィーが声を上げた。

「シリウスさんなら大丈夫です。しっかり想いを伝えてください」

かぐやが微笑み、シリウスは「ありがとう」と言う。普段は舞台の上でしか言えない言葉も、今日はきちんと言える気がした。何度も練習した言葉を、心の中でまた繰り返す。

「エヴァ、ちょっといいかな?」

屋敷に戻った後、シリウスは部屋で刺繍をしているエヴァに声をかけた。エヴァは「はい。何でしょうか」と微笑む。

エヴァは、エデンから解放されてから表情が明るくなった。よく微笑みを見せてくれる。シリウスは本当に平和になったんだなとエヴァを見るたびに思うのだ。
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