幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
カップケーキが出来上がり、シリウスたちは中庭へと移動する。そこにはティータイム用のテーブルと椅子が常に用意されているのだ。おやつはいつも、ここで食べる。

「シリウスさん、茶葉は何にいたしますか?」

「じゃあアッサムで」

ティーポットを手にするかぐやにシリウスはニコリと笑って答える。かぐやの淹れる紅茶はとてもおいしい。そう思うのは、シリウスだけではないようだ。

「……おいしい、です。かぐやさんの紅茶はいつもおいしいです。私もこんなお茶を淹れられるようになりたいです」

紅茶を飲み、エヴァが言う。かぐやは少し複雑そうな顔をしながら「ありがとう」と言っていた。

「そういえば、明日からまた劇団の仕事が始まるんだ」

シリウスが言うと、かぐやが「台本はもう読み終わったのですか?」と目を輝かせる。シリウスは「もちろん!」と頷いた。俳優の仕事は、何よりも大好きで夢中になれるからだ。

「劇団……」

エヴァがポツリと呟く。シリウスがエヴァを見ると、目が合った。深い青と、薄い青の瞳が混じり合う。
< 21 / 190 >

この作品をシェア

pagetop