幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
エヴァの瞳の中には、シリウスが映っていた。彼女に見つめられているというだけで、シリウスの胸は不思議な音を立てる。まだ出会って数日しか経っていないというのに、誰よりも美しいエヴァに目が離せないのだ。

「そうだ!エヴァも劇団の仕事を手伝ってくれない?」

シリウスが微笑みながら言うと、「シリウスさん!彼女は劇団の仕事なんて何も知りませんよ」とかぐやが言う。しかし、シリウスは考えを変えるつもりはなかった。

「エヴァは一度言われたら絶対に忘れない。これなら、劇団の仕事を充分にこなせると思うよ」

君のサポートもしてくれるかもしれない、とシリウスはかぐやを見つめる。かぐやは迷うような表情だったが、「……わかりました」と言った。

「どうかな?」

シリウスはエヴァを見つめる。エヴァはコクリと頷いた。

「仕事を、させてください」

エヴァがそう言ってくれたことに、シリウスはその場で飛び上がりたくなるほど嬉しかった。それがなぜかはわからない。
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