幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
劇団にいる他の俳優たちや、仕事内容などをシリウスはエヴァに教える。エヴァは真剣に聞いてくれて、シリウスは劇団と全く関係のない話までしてしまっていた。

明日が楽しみだな、とシリウスは何度も思いながらティータイムは続いた。



そして翌日、シリウスはドキドキしながら家を出た。隣には、黄色いドレスを着たかぐやと青いドレスを着たエヴァがいる。

「エヴァ、緊張してる?」

シリウスが訊ねると、「大丈夫です」と予想通りの返事が返ってくる。その美しい横顔は何を思っているのか、感情を読み取ることはできない。

「正直、羨ましい。私は劇団で働くことが決まった時はずっと緊張していたから」

かぐやの言葉に、エヴァは「緊張、とは何なのかがわかりません」と答える。かぐやがどうしたらいいかわからない、と言いたげな表情を見せたので、シリウスは慌てて口を開いた。

「劇団のみんなには、エヴァのことはまだ話していないんだ。とりあえず今日は見学という形になるかな。仕事を一通り見て、それから自分のしたい仕事を選んで」
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