幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「私は、与えられた仕事なら何でもします。それがきっと私の使命なのです」

エヴァのその言葉が、どこか重く聞こえた。シリウスは、エヴァの表情が一瞬だけ崩れたような気がした。その時に見えた感情はーーー。

「何でもって例えば、人を殺せと言われたら殺すの?」

かぐやが少し棘のある言い方で言う。エヴァは何も答えず、どこか重苦しい空気のまま劇場に到着した。シリウスがエヴァに声をかける。

「ここが劇場だよ。ここで僕たちは観客に素晴らしい舞台を見せているんだ」

豪華な造りの立派な劇場を、エヴァは熱心に見上げていた。シリウスは「中を案内するよ」とエヴァを連れて中に入る。

「シリウス、おはよう!」

劇場の中へ入ると、ケイリーが挨拶をしてくれた。そして隣に立つエヴァを見て、「えっと、君は?」と首を傾げる。

「エヴァと申します」

エヴァはペコリと頭を下げる。戸惑っているケイリーに、シリウスとかぐやは事情を話した。
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