幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
東の国の王子が改めてプロポーズをし、仕立て屋の娘は「はい」と言う。そして二人は唇を重ねた。

「……おめでとう。幸せになれよ」

西の国の王子が切なげに笑い、劇は終わる。緞帳が下がっていき、シリウスは客席を初めて見た。一人の拍手しかない客席。しかし、エヴァは真剣な目で舞台を見ていてくれた。シリウスは嬉しくてたまらない。

「お疲れ様です。とても素敵でした!」

かぐやが笑い、「かぐやの脚本、今回も素晴らしいね」とシリウスとケイリーが言った。かぐやは髪に触れながら微笑む。

「それにしても、何万人もの人の前で私とケイリーがキスしてしまっていいのかしら?もちろん、嬉しいのだけど」

「アイヴィー、すごく素敵だよ!きっといいシーンになる!」

アイヴィーとケイリーが手を取り合ってもう一度キスをする中、シリウスはかぐやの横をすり抜けてエヴァのもとへと向かう。エヴァにとっては、初めて見る劇だ。どう思ったのか、とても気になる。
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