幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

互いの剣がぶつかり合う。エヴァはすぐにバージルから離れ、何度も剣を振り下ろした。バージルは受け止めていくが、その顔はどこか驚いている。

しかし、バージルを負けじとエヴァに剣を振り下ろす。それをエヴァは一瞬で避け、また攻撃を始めた。

エヴァが強いことに、アイヴィーたちは驚きの声を上げる。シリウスも驚いていたが、少し寂しい気持ちもあった。自分よりずっと強く、守られる存在ではない。それが寂しかったのだ。

「……何で……」

シリウスの呟きは、舞台に向けてみんなが放つ声でかき消されていく。舞台の上では、誰よりも勇ましい二人が戦いを続けていた。

「お前、とても強いな。どこでその剣を学んだんだ？」

勝負に終わりが見えなかったので、引き分けということになった。バージルの問いに、エヴァは「……私は記憶を失っていますので」と言う。

バージルとエヴァが握手を交わし、アイヴィーたちは喝采を二人に送る。モヤモヤした気持ちが膨らんだシリウスは、エヴァに声をかけていた。

「エヴァ、強いんだね。僕に剣を教えてよ」

わかりました、とエヴァが答えシリウスは安心して笑った。