幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜

人気女優のアイヴィー・ローは最近、いつも以上に劇場に行くのが楽しみになった。

「おはよう、ケイリー！」

劇場に行くと、いつも恋人のケイリーが台本を読んでいる。アイヴィーが笑顔で挨拶をすると、ケイリーは台本から顔を上げて「おはよう、アイヴィー！」と挨拶を返してくれる。

それから、二人はゆっくりと顔を近づける。そして唇が触れるだけの優しいキスを何度もするのだ。これは恋人になった頃から当たり前になっている。

「二人とも今日も朝から幸せそうだね〜」

キスの最中に聞こえた声に、アイヴィーはドキッとする。振り向けばシリウスとかぐやが立っていた。シリウスはからかうような目で、かぐやは羨ましげに二人を見つめる。

「シリウス、あの子は？」

アイヴィーはドキドキしながら訊ねる。エヴァに会うのがアイヴィーの楽しみの一つになっているのだ。

「ん？ちゃんといるよ」

シリウスが後ろを向く。アイヴィーもシリウスの視線を追った。すると、物陰からエヴァがひょこりと顔を出す。