幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
「君、とっても綺麗だね」

「俺らのデートしない?」

エヴァは数人の男性に声をかけられていた。ナンパというものだ。アイヴィーがエヴァのもとへ急ごうとすると、エヴァは口を開く。

「デートとは、愛する人同士が行うものだと聞きました。愛とは、出会ってすぐに生まれるものでしょうか?」

エヴァの口から出た言葉に、男性たちは「は?」と言う。アイヴィーは苦笑しながら声をかける。デートという言葉の意味を教えたのは、アイヴィーだ。

「エヴァ、お待たせ。ごめんなさいね。エヴァとデートするのは私なの」

女優の登場に、男性たちは顔を赤くして何も言えなくなる。アイヴィーはエヴァの手を取り、足早にその場を去った。

「私とアイヴィーさんは愛し合っているのでしょうか?」

歩きながらエヴァが訊ねる。アイヴィーはまた苦笑してしまった。

「う〜ん。私は仲良くなりたいとは思っているよ」

「仲良くなると愛は芽生えるのですか?」

「そのうちわかるわよ」
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