幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
お酒を注ぎながら、ケイリーの両親や弟たちは喜んでいる。その声にシリウスとバージルが耳を傾け、アイヴィーは招待されてやって来た村の女の子たちとおしゃれの話で盛り上がっていた。

テーブルの上に並べられた料理をつまみながら、ケイリーはパーティーを楽しむ人たちを見つめる。その中に、懐かしいあの顔はない。来ないとわかりきっていたはずなのに、どうしても探してしまうのだ。

「……ダメだな。いい加減忘れたいのに」

あのほろ苦い思い出を忘れられないのは、別れ際に暗号の紙を渡されたからだろう。捨てることも、解くこともできないままの暗号は今もケイリーの手元にある。

「ため息をつかれてどうされましたか?」

不意に話しかけられ、ケイリーは驚く。横を見ればエヴァがケイリーを見つめていた。

「な、何でもないよ!それよりエヴァはきちんと楽しんでる?ちゃんとご飯は食べてる?」

「この賑やかな場所にいるだけで、胸が楽しさでいっぱいになります。食事はもう済ませましたので、大丈夫です」
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