幸せの花束をもらった日に、あなたに愛してるを〜箱庭の少女と舞台俳優〜
エヴァの提案に、ケイリーは一瞬で首を横に振った。過去のことを思い出しているこの時に全部話しておきたいのだ。

「ケイリー、エヴァ、何をしてるの?」

シリウスの声に、ケイリーは声のした方を見る。シリウスの目には少しだけ嫉妬が見えていた。

「少しケイリーさんと話をしていました」

エヴァがそう言うと、「エヴァ、疲れたでしょ。早くお風呂に入っておいで」とシリウスはエヴァの手を掴んで家の中へと連れて行く。

家の中に入る直前、エヴァはくるりとケイリーの方を向いた。その目は真剣なもので、部屋に来てくれるのだとケイリーは同じような目でエヴァを見つめ返す。

扉が、ゆっくり閉められた。



お風呂に入った後、ケイリーは何年ぶりかの自分の部屋のベッドに横になった。シーツは母が干してくれてあったおかげか、いい匂いがする。

ケイリーの部屋には、ケイリーが学校の工作の時間に作った箱やランプなどが飾られていた。その一つ一つに、ある思い出が詰まっている。
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